カテゴリ:ブックス( 58 )

角田光代さん 「紙の月」

すごい小説です。
読み方、読み手によっては怖くなるような内容です。
お金をものとおもうような心情になる主人公の悲しい話です。

この主人公のて転落していく過程がすごい。
まじまじとその様子が描かれていく筆致は見事です。
一気に読まそうという書き手の力がわかります。

主人公は何を得ようとしていたのか。
自分の立場か、仕事か、恋人か、夫への見返しか。
その点がどうこのお金をお金と思えなくさせるきっかけになったのか
とんでもない、買い物や家やホテルや、そんなことで
人間の価値は決まらないと私は思いながら
読み進みました。
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それにしても主人公は悲しい性(さが)を持ちながら
成長したのでしょう。
自己の両親、環境、生い立ちが彼女の生き方を変える
きっかけになったような気がします。

悪いと知りながら、彼女はなにかにとらわれたように
お金を右から左に置き換えていく。
そしてお金を恋人に惜しみなくつぎ込んでいく。

読み終えて放心した自分に気が付きました。
ただ主人公は決して悪い人ではないと
今でも私は確信しています。
というよりかわいそうな、運が悪すぎる女性だと思います。
一読を。

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by dopi19 | 2013-03-17 01:10 | ブックス | Comments(0)

窪 美澄さん 「ふがいない僕は空を見た」

昨年かなり売れた本です。
人気があってやっと図書館で借りて読みました。

導入部分はすごく性描写があからさまでこんなの読んでいていいの、
という感があり、なんだか読み進むのが怖い感じでした。
ただ人物描写や心理描写が卓越していて、とても読みやすい。
また人物がかなりかたよりがある若者や大人を対象に描いてるところも
特徴的です。

中ごろから面白くなります。
豪雨と水害の部分から引き込まれました。
そこからは一気です。
ただ一番のこの小説の魅力は人の生き様と生きていればこそと
いうところだと思います。

後半のセイタカの部分と斎藤君のお母さんの話は
はっきりいって号泣です。恥ずかしいですが。
それだけ読んでいて夢中になり
なぜこの小説が人に読まれ、支持されたか、わかりました。
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ある程度小説というのは魅力がないと
売れないし、読まれません。
でも狙って書けるわけありませんね。
その点この小説もだんだん話が出来てきて書き終わったら
すごいことになっていた感もあります。

読んで損のないかなり魅力的なお話です。

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by dopi19 | 2012-07-25 16:24 | ブックス | Comments(0)

きことわと苦役列車

芥川賞で久しぶりに2人の受賞者がでた。
それも対照的な男女。

内容もどうやらきらびやかなものと
かなり厳しい、私小説だという。

そんな話題をまいている、作品を
今月の文芸春秋は掲載している。

やはり買ってしまった。
そして、早速読んだ。
2作品はあっという間に読んだ。

それだけ魅力のある秀作である。
もちろん内容も素晴らしいが
その書きかた、手法が素晴らしい。
特に「きことわ」の朝吹さんの
微妙で時間をいったりきたりする書き方は
魅力を感じた。

そして「苦役列車」は
貫多という主人公の日々の人足の
話で、全く向上心のない、その愚鈍な生活ではあるが
心理描写や生活描写が鋭くて
面白い。
特に特殊な言葉を使うのも魅力である。

朝吹さんも特有の珍しい言葉を使い
また彼女は独特の世界観も手伝い
特殊なことは書いていないのに
不思議な感覚にとらわれる錯覚のような読後感があった。
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いずれにせよ、2作品ともすごい小説だ。
ぜひ読んでおくことをお薦めする。

ナイスな小説だった♪

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by Dopi19 | 2011-02-16 05:23 | ブックス | Comments(0)

永遠の0 百田尚樹さん

戦争を描いた小説は数ある。
この小説も第二次世界大戦を描いたことでは評価したい。
ただこの永遠の0には得も言われぬすごさがある。

かなり評価の高い作品で私もそれを知り買い求めたわけだが
充分読みごたえと、読後感は爽快なものだった。

宮部という飛行部隊の一兵士を書いている。
その孫に当たる姉弟の祖父の生きざまを捜索すること
捜索でえた証言でこの作品は描かれている。
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最後で大どんでん返しがあるのだが
これは書けない。

何より証言の中でいかに宮部がに生に執着したか
ひしひしと心に刻まれた。

生きることを求めた宮部が戦争が終わる寸前
自分の部下に運命を譲ってしまう。

最後は感動せざるを得ない。
長い小説だが読んで損はないと確信する♪

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by Dopi19 | 2010-11-28 04:43 | ブックス | Comments(0)

ヘヴン 川上未映子さん

図書館で借りたのですが、面白くてというかほとんど魅せられた感じで
一気に読んでしまいました。
いい作品です。

本当にとても描き方がうまくて、その一つ一つが魅力的な書き方をしています。
心が動かされ、何度も涙を流しました。

僕という中学生がいじめにあう話で、僕はコジマというこの女子生徒も
いじめられているのですが、手紙を通して親しくなり
お互いにわかりあうまでになります。

しかしあまりにも僕はいじめでひどい目にあい、またコジマは
なぜか少しずつ僕から遠ざかっていきます。

僕の苦悩、葛藤、想い、いろいろな思考や感情が
川上さんのいきいきとした文章で美しく描かれていきます。

中でもなぜへヴンなのかと思うのですが
それは美術館のある絵で、コジマが好きな絵画なのですが
結局僕はそれを見ることなく終わります。

僕はひどい暴力を受け、だんだん弱っていきます。
その過程で、なぜこんな目に合うのかという
素朴な疑問に向き合います。

その辺がこの小説の根幹なので
書けませんが、非常に繊細に描いていますね。
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久々にいい小説に出会いました。
これは2009年刊行ですから
まだ文庫化されていません。
よって借りないとかなり痛い出費になりますが
是非一読をお勧めします。

難しい表現があるかもしれませんが
読むべき本だと私は思います♪

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by dopi19 | 2010-09-23 11:25 | ブックス | Comments(0)

レディージョーカー 高村薫さん

高村さんの長編は面白いものが多いです。
今回もなかなか読めなくてでも楽しみながら読み終えました。

文庫になり、その分加筆などしているので
単行本とは少し変わっているところもあるのでしょうね。

もちろんサスペンスもので刑事事件を書いています。
企業脅迫が主な犯罪で
その中で社長誘拐や秘密裏な脅迫と金銭要求などあるのですが
犯罪でなく、高村さんの描こうとしているのは
犯罪を取り巻く、警察の人、新聞社の人
被害者と犯罪者、あらゆる登場人物の生きざまを描き
克明に心理描写しています。

その中身はかなり専門的で
このタイトルレディージョーカーでは
想像がとてもつかない、難事件とその関わる人の
葛藤、ゆれる心、思いめぐらす心理描写が
読み手に夢中にさせる、書き方です。

犯罪は始めがあれば、解決するものが多いわけで
この本の犯罪も犯人グループの
強欲さが破たんのきっかけになりますが
崩れていきます。

でもかなり人間や過去の悪いことをした高名な人の
さまざまなことが入り混じり
内容把握が難しかったです。
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ただ目の付けどころや、人間、心理描写は
ものすごく参考になります。

長編ですが読んでみてはいかがでしょう♪

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by dopi19 | 2010-08-20 15:22 | ブックス | Comments(0)

1Q84が残したもの

1Q84 Book3を読んだ。
16日に買い、17日中に読み終えたかったが
15分くらいオーバーして
18日午前12時15分頃読み終えた。

内容については触れないが
読み終えて、本当にいい作品に出会えたと
心から感銘した。

この2年間にわたり
1Q84という作品が出るぞ出るぞで
ワクワクし、Book1・2の狂想曲が巻き起こり
そして続編発表でまた注目され
今に至る。

この一連の騒ぎや期待、興奮が
私の暮らしにいきいきとした活力を与えてくれたと
言ってもいい。

作品自体が素晴らしいもので
本当に満足がいったので、本三冊の値段以上の
価値を見いだせたし、
村上春樹さんの作品全体をまた読み返そうという
気にもなった。

また多くのほかの作家のいい作品も読みたくなった。
1Q84はいい意味で私の知的好奇心を増幅させたと言っていい。

しかしである。
1Q84が一応決着した今
すべてを読み終え
その残したものは
ぽっかりあいた穴である。

私の心に穴をあけたのである。
それだけ期待感と高揚感が
この作品にあふれていて、読んでいてこんな楽しい作品は
なかなかないと思う。

読み返すこともできるが
やはり初見と2度目では
感動や慟哭の度合いが全然違うと思う。
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1Q84で私はいい意味でも悪い意味でも
衝撃を受けた。
だからこそこの作品は大好きで、出来ればもっと村上さんには
書いてほしかった

でも物語は結末なしでは終わらない。
この終わりが私に喪失感を与えたことは確かである。
作品はこの上ない極上のもの。
ただ読み終えて、楽しみがなくなりぽっかり穴があいた心で
今生活している。

1Q84ぜひ読んでください♪

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by dopi19 | 2010-04-20 11:26 | ブックス | Comments(0)

宮部みゆきさん 「模倣犯」

文庫で読もうと思っていたが、ハードカバーを図書館で借りて
一気に読んだ。
やはり面白かった。

文庫で5巻出ていたので、さぞ読むのは大変だろうと
敬遠していたが、やはり宮部さんのミステリーは放っておく手はない。

ハードカバーは600Pごえの厚く、長いもので
はたして本当に読み終えるのかと少し不安もあった。

ただ読み始めると面白くてどんどん読み進めた。
なんといっても人物描写とその周りの状況描写に
たけている文章だと思う。

模倣犯という題名は最後のほうになり
ようやくその理由がわかるのだが
とにかくこの本の犯人は凶悪である。

しかも共犯で女性を連続して拉致し
殺害するのである。

その犯人、警官、被害者、その遺族、事件を追うルポライター
様々な人物を登場させることによって
かなりの長編を支えている。
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これを読んで大きな自信になった。
本当に長かったが、面白いので
読むことに難儀は感じなかった。

それより宮部さんの話の展開、
話の途中で犯人の一人が事故で
死んでしまうという、思わぬ展開で
より夢中にさせる技法をとっていて
素晴らしいと思った。

人気作品であるが
読み切るには覚悟しないと
長い作品である。

しかし読み終えた後
不思議に人間の尊厳みたいなものを
しみじみ感じる
そんな名作だとつくづく思う♪


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by dopi19 | 2010-04-14 03:10 | ブックス | Comments(0)

森鴎外 「山椒大夫・高瀬舟」

宇多田ヒカルさんがプロフィールで
好きな作家をあげていて
その中に森鴎外の「高瀬舟」がありました。

文庫で探すと「山椒大夫・高瀬舟」であり
だいぶ前に買いました。

この本は短編集でかなり難解な部分もあります。
そういうところは流して読むしかありません。

でもさすがに表題になっている
高瀬舟は良く頭に入ります。
また同じく山椒大夫も読みやすいです。

この山椒大夫も高瀬舟も
感動的です。

どうも大作家というのは
やはり書き方というか
目の付けどころというか
視点や世界観が我々凡人とは
かけ離れているようで
この作品にはそれがいっぱい詰まっています。
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山椒大夫にはどういうわけか安寿と厨子王が出てきます。
ひとさらいにさらわれるのですが
それからが読みどころで
最後は感涙します。

高瀬舟も最後は悲劇的で
ストレートな怖さがあるのですが
人間の本質を描いたいい作品です。

この山椒大夫と高瀬舟に至るまでが
難解作との闘いですが
文庫ですからぜひ読んでみてください。
感動します♪




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by dopi19 | 2010-02-04 06:14 | ブックス | Comments(0)

赤い指 東野圭吾さん

いつも東野さんの作品は最後のほうへいくたび
驚かされますが、今回も驚きました。

事件を取り巻く、いろいろな人を描きますが
主になる人物は少ないのです。

この赤い指は加賀恭一郎という一人の刑事が出る
話のシリーズでもあるんですが
今回は恭一郎とその父親の話も出ます。

もちろん殺人事件は起きます。
それは一家族の問題で
それにどう対処するかでこの小説は
進んでいきます。

つまるところ殺人事件を
隠そうとするのです。
これ以上は今売れている本ですから
書けません。

とにかく人物描写が上手で
その個人個人の発する言葉が
リアルでいいですね。

また今はいやな事件が多いですが
この小説はどこにでも起きそうな話、事件ではあります。

話は事件と、恭一郎の父親の病状とその甥の話で
進んでいきます。

また老いるとはどういうことか。
その老いや老いた人の面倒をみるということはなんなのか。
そんなテーマも出てきます。

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身近に感じる題材で
読みやすいのが売れている要因でもあるんでしょう。

必ずキーポイントがあるわけなんですが
そのキーがタイトルなんです・・・・

読んでください。
おもしろいです♪


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by dopi19 | 2009-09-08 05:51 | ブックス | Comments(0)