2007年 04月 04日
辻井喬さん 「父の肖像」
なかなか読み応えがありました。
辻井さんはペンネームで本当の名は堤清二さんです。
ですから父親は堤康次郎さんです。
その父親を名前を変えて、おそらく大部分事実の伝記のような感じで
書いたものと思います。
実業家として、政治家として、父として
いろいろな人間関係、特に女性とはいろいろな方と関わります。
当然子供ができ、異母兄弟が生まれます。
その一人としての私、恭二が父、楠次郎を描いていきます。
楠次郎はものすごい人生を過ごします。
関わってくる人物も大隈重信から新渡戸稲造
政治家になると吉田茂、実業家としては五島慶太まで
すごい人が多く登場します。
一方、女性関係には苦労して、なかなかいい奥さんには恵まれず
そのため多くの女性と関係します。
楠次郎本人が豪快で、あまり細かいことを気にしないので
女性に対しても深い情けがありません。
でも、それぞれけじめはきちんとつけたようです。
この作品は私、恭二が、楠次郎という父をあまり好まないながらも
自分にも父親の遺伝子があるのだということに気づき
父を通して、自分の生き方を模索していくものです。
楠次郎は実業家としても、政治家としても
名をはせます。
それでも、人間関係に悩み、女性に気を使いつつ、
その子供に扱いに難儀する過程が描かれます。
この作品を通して人間の生き方は
さまざまなのだと痛感させられ、また親子は血を争えないのだと
改めて知ることになります。
長く難解な文章もありますが、興味深い作品です♪
ピシンギーニャ/ブラジル音楽の父/BSR-5007
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ムハンマド・アブドゥル=ワハーブ/アラブ音楽の父/MLR-104
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by dopi19
| 2007-04-04 05:39